- 新しい「農」のかたち - http://blog.new-agriculture.com/blog -

農薬を徹底追求!まとめ(2) 農薬の登録制度

こんにちは、sugi70です。
前回は、農薬の実害の事例を追求しました。
事例から分かったことは、
中毒の事例は、使用方法を守らなかったことによる事故がほとんどであり、使用者の不注意によるものということがわかりました。
また、私たちが口にする野菜の残留農薬についても、調べてみると極めて少量であり、この残留農薬によって実害が起きた事例は、調べた限りにおいては見つかりませんでした。
つまり現在の農薬に関しては、使用方法を遵守すれば、人体に悪影響を及ぼすことはないと、これらの事実群から考えられます。農薬が危険か安全かは、使用者が農薬のことをどれだけ理解しているかにかかっていると思われます。
そして、農薬の使用方法や安全基準は、『農薬取締法』で定められており、農薬の販売や登録に関しては、農薬登録制度によって、農薬の作物残留、土壌残留、水質汚濁による人畜への被害や水産動植物、環境への被害を防止するために厳格な基準が定められているようです。そして、農薬従事者が、この基準にそって農薬を使用することで、初めて安全性が確保されています。
では、この農薬登録制度の中身とはいったいどのようなものになっているのでしょうか?
今回は、農林水産省のHPから抜粋した内容を補足しつつ、紹介していきたいと思います!
続きを読む前にポチっと☆応援ありがとうございます!


以下は農林水産省、農薬の基礎知識、から抜粋、引用しました。
*********************************

(1)農薬の登録制度
農薬は、その安全性の確保を図るため、「農薬取締法」に基づき、製造、輸入から販売そして使用に至る全ての過程で厳しく規制されます(従来は販売規制が中心でしたが、平成14年12月の法改正で製造・輸入・使用の規制が加わりました。)。その中心となっているのが、「登録制度」です。これは、一部の例外を除き、国(農林水産省)に登録された農薬だけが製造、輸入及び販売できるという仕組みです。
※補足…つまり、現在の農薬は、国が定める安全基準に合格したものでないと使用できません。外国の農薬に関しても、外国の安全基準で合格した農薬であっても、日本で使用する場合には、日本の基準に合格しなければ使用は認められません。
(2)登録の手続き
農薬の登録を受けるに当たって農薬の製造者や輸入者は、その農薬の品質や安全性を確認するための資料として病害虫などへの効果、作物への害、人への毒性、作物への残留性などに関する様々な試験成績等を整えて、独立行政法人農薬検査所を経由して農林水産大臣に申請します。新たな農薬の開発には、およそ10年の歳月と数十億円にのぼる経費を必要とするといわれています
[1]
※補足…図を見てみると、農薬の開発期間は、毒性検査だけではなく、ほ場の土壌や生物に対しての残留度合いの検査が主要な原因で長引いているということがわかります。10年以上の歳月をかけて、動植物への影響や、周辺環境の変化、残留について検査しているのは、農薬の安全性について、徹底的に追求しようという姿勢が感じられます。
(3)検査の仕組み
申請を受けた農林水産省は独立行政法人農薬検査所にその農薬を登録しても良いか否かの検査をするよう指示します。農薬検査所では、提出された試験成績等に基づいて、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保のため、農薬の薬効をはじめ毒性や作物・土壌に対する残留性などについて総合的に検査し、農林水産省にその結果を報告します。この結果から、農林水産省はその農薬を登録するか否かを判断します。
[2]
(4)検査の内容
農薬検査所では、農薬の薬効、薬害、安全性及び製品の性質について検査を行います。
ア 薬効の検査
薬効については、その農薬が実際に申請された方法に基づいて使用された場合、病害虫や雑草の防除に確実に効くかどうか、検査します。
イ 薬害の検査
薬害については、その農薬が実際に申請された方法に基づき使用された場合、使用した作物とその周辺の作物に対して害を与えないことを検査します。
ウ 安全性の検査
安全性については、農薬使用者の安全性、農薬が使用された農作物を食べた場合の安全性及び散布された環境に対する安全性に関する検査を行っています。
これらの安全性を確認するために、登録申請者は、信頼性のおける試験機関においていくつもの毒性試験、残留試験、環境への影響試験などを行います。農薬検査所では、提出された試験の結果から総合的に判断し、農薬が人や環境に与える影響について検査します。
人や家畜に対する毒性を調べるために行われる毒性試験は、大きく分けて、短期間に多量の農薬を摂取した場合の毒性(急性毒性)と、少量であっても長期間に農薬を摂取した場合の毒性(慢性毒性)を試験するものがあり、急性毒性試験は主に農薬を使用する人への影響を、慢性毒性試験は農薬が使用された農作物を食べる人に与える影響を調べるものです。
なお、提出する試験成績を以下に示します。
———————————————————————

a.薬効に関する試験成績
□適用病害虫に対する薬効に関する試験成績
(農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる薬剤にあっては、適用農作物等に対する薬効に関する試験成績)

b.薬害に関する試験成績
ア 適用農作物に対する薬害に関する試験成績
イ 周辺農作物に対する薬害に関する試験成績
ウ 後作物に対する薬害に関する試験成績

c.毒性に関する試験成績
□急性毒性を調べる試験
ア 急性経口毒性試験成績
イ 急性経皮毒性試験成績
ウ 急性吸入毒性試験成績
エ 皮膚刺激性試験成績
オ 眼刺激性試験成績
カ 皮膚感作性試験成績
キ 急性神経毒性試験成績
ク 急性遅発性神経毒性試験成績
□中長期的影響を調べる試験
ケ 90日間反復経口投与毒性試験成績
コ 21日間反復経皮投与毒性試験成績
サ 90日間反復吸入毒性試験成績
シ 反復経口投与神経毒性試験成績
ス 28日間反復投与遅発性神経毒性試験成績
セ 1年間反復経口投与毒性試験成績
ソ 発がん性試験成績
タ 繁殖毒性試験成績
チ 催奇形性試験成績
ツ 変異原性に関する試験成績
□急性中毒症の処置を考える上で有益な情報を得る試験
テ 生体機能への影響に関する試験成績
□動植物体内での農薬の分解経路と分解物の構造等の情報を把握する試験
ト 動物体内運命に関する試験成績
ナ 植物体内運命に関する試験成績
□環境中での影響をみる試験
ニ 土壌中運命に関する試験成績
ヌ 水中運命に関する試験成績
ネ 水産動植物への影響に関する試験成績
ノ 水産動植物以外の有用生物への影響に関する試験成績
ハ 有効成分の性状、安定性、分解性等に関する試験成績
ヒ 水質汚濁性に関する試験成績

d.残留性に関する試験成績
ア 農作物への残留性に関する試験成績
イ 土壌への残留性に関する試験成績

———————————————————–
エ 登録保留基準
農薬取締法では、農薬の作物残留、土壌残留、水質汚濁による人畜への被害や水産動植物への被害を防止する観点から国が基準を定めることとされており、申請された農薬毎にこれらの基準を超えないことを確認して登録することとされています。
これら基準は、審査の結果、基準を超えると判断された場合には登録が保留されることから「登録保留基準」と呼ばれ、環境大臣が定めて告示することとなっています。このうち作物残留に係る基準については、食品衛生法に基づく食品規格(残留農薬基準)が定められている場合、その基準が登録保留基準となります。

[3]
※補足…農薬の登録は、厚生労働省、環境省、農林水産省の3省によって行われている。それは、安全性が、農業従事者に対してだけではなく、消費者、環境と、様々な対象が存在しているからです。どの視点にたっても、公平な判断が下せるよう、このような仕組みになっています。
※引用、抜粋は以上。

*********************************
農薬登録制度のまとめ
以上が農薬登録制度の仕組みですが、理解いただけたでしょうか?
以下、重要なポイントをまとめていきます。

1.現在の農薬は、国で認定されたものしか使用してはならず、また、使用基準に従うことが義務づけられています。(農薬取締り法に違反した場合、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処される(第17条)。)
2.農薬の登録に必要な検査項目は、薬効、薬害、毒性、環境への影響などを含めると、全部で33項目にも及び、それにかかる期間と費用は10年以上の歳月と数億円を必要とします。
 
3.農薬の安全性を保障するために、様々な検査が行われていますが、その対象は、野菜を食べる消費者だけではなく、農薬を散布する人、土壌・水生生物・有用生物、水質汚染などの自然環境の影響、さらには土壌・農作物の残留性についてと、幅広いものとなっています。
4.農薬の登録は、厚生労働省、環境省、農林水産省の3省によって行われています。それは、安全性が、農業従事者に対してだけではなく、消費者、環境と、様々な対象が存在しているからです。どの視点にたっても、公平な判断が下せるよう、このような仕組みになっています。

現在の農薬取締法における農薬の使用方法や安全基準は、私たちが思っている以上に厳しいものであり、またそれによって安全性が確保されているということが分かりました。
農薬は、現代の農業において、省力化、圃場の管理、安定した食糧の供給に非常に役に立っており、欠かせないものとなっています。そのような位置づけにあるからこそ、『どうすれば安全な使い方ができるのか?』という発想があって、このような厳しい登録制度になっていると考えられます。
もちろん、農薬が安全か危険かという観点で議論をすれば、答えが出ない価値論争に収束してしまいます。そうではなく、今求められているのは、現在の市場社会において、農業はどのような位置づけにあり、社会に何を期待され、または何を必要としているかという視点だと思います。
その点においては、農薬は必要なものだと言えますし、私たちも、農薬取締法の使用基準を守り、正しく農薬を使用することで、きっちりと農業の役割を果たしていきたいです。

[4] [5] [6]