- 新しい「農」のかたち - http://blog.new-agriculture.com/blog -

食料自給率の成立背景②~食料自給率は、食料危機の「警鐘」から、アメリカの食料支配の道具に転換してしまった~

『食料自給率の成立背景①~戦後の食糧不足、専業農民激減による「警鐘」⇒食料自給率~』 [1]に引き続き、今回は『戦後の食糧不足、専業農民激減による「警鐘」』であった『食料自給率』がどのようなものになっていったのかを追求していきたいと思います。


ということで、前回と同様、農業経営者の記事を一部参考にして展開したいと思います。
【参考】雑誌農業経営者の『食糧自給率の罠(農業経営者2009年1月号)リンク(PDF) [2]
日本の農業・農政の変化があるときに統計内容の発表が変わってきた食料自給率

1960年 食料自給率の統計開始(農水省資料)【前回の記事参照】 [1]
1968年 金額ベースの自給率の統計開始(農業経営者の記事による)
       米余りの問題が出てくる
        八郎潟干拓農地入植(1967)
        自主流通米制度(1969)
        減反政策の開始(1970)

1983年 カロリーベースの自給率の統計開始
        農作物自由化交渉(牛肉・オレンジ交渉)
        牛肉・オレンジ交渉(1978~1988)
        MOSS協議(市場志向型分野別協議)開始

1995年 金額ベースの自給率発表が消え、カロリーベースのみが発表される
        ウルグアイ・ラウンドにおける米の実質的な関税化合意(ミニマムアクセス)
        平成の米騒動・冷害による米不足(1993)
        食糧管理制度廃止→新食糧法施行(1995)

上記からわかるように法制度が変わることがあるとそれと連動するように食料自給率の統計発表の内容が変わってきています。
ただし、食料自給率を金額ベースで統計を取ると輸出多・輸入少の諸外国の場合マイナスになってしまうという統計の比較上不都合が起きてしまっているという実態もあります。
特にヨーロッパでは、EU設立後EU加盟国同士の輸出入が活発になったことも食料自給率の統計の方法が変わった要因になった可能性もあります。

特権階級の暴走に利用されてきた「食料自給率」
しかし、この食料自給率の統計の結果、果たして効果をあげているのでしょうか?
確かに統計調査を始めたころは、日本の食糧危機を憂いて「警鐘」の意味を込めて「食料自給率」がつくられた可能性は大きいのですが、現状はその可能性は極めて怪しいものになっているのではないでしょうか!

専業農家の年間所得は644万円なのに、兼業農家の所得は792万円ってどうなの?【るいネット】 [3]
農協─族議員─農水省トライアングルの罪深さに愕然とする。農業の衰退に歯止めをかけるどころか、加速させているように読み取れる。著者が指摘する病根は、「高米価政策(減反)」と「農地制度(農地転用)」である。
日本の官僚組織はどこまでアメリカ・金貸しに支配されているのか?【るいネット】 [4]
この6つの官僚組織(財務省、金融庁、厚生労働省、総務省、農水省及び法務省)は、金融行政、薬の販促、電波監督、郵政支配、農業・農林中金支配・・・・という金貸しにとって涎の出る金融資産を管理し、日本支配(特に電波)を行う要の位置にあり、市場としても有力な範囲(薬・食品)をカバーしている。
農業生産と農業所得の金額推移【るいネット】 [5]
2007年の農業総産出額は8.2兆円であり、1980年代後半の12兆円弱の水準からかなり低下している。
次ぎに、生産農業所得の推移を見ると、1970年代後半、1990年代前半には、5兆円に達する年もあったが、最近は、かなり減少し、3.1兆円(2006年)となっている。

農水大臣職は政治生命を賭す危険ポスト【るいネット】 [6]
父親譲りの有力農政族議員が『農水大臣ポストだけは危ない』と、公言している。今時の農水大臣職は、政治生命を賭す危険ポストとなった。政治生命を絶ち自殺にまで追い込む危険な干渉圧力は、米国政権の背後にあるメジャー(世界支配を目論む投機勢力)発であろう。
日本のマスコミは、その尻馬に乗る姑息な下手人だ。

上記の記事からわかるように、食料自給率の統計開始から今に至るまで、根本的な解決案を提示することが出来ず、その影で農水族議員・農協・農水省がすきなようにやってきた、アメリカに好きなようにやられてきたということがわかるかと思います。
このような状況では、今の食料自給率騒動がとても日本の農業を再生しようという意識が芽生えるとは思えません。
今やアメリカ・金貸しによる食糧支配に利用される「食料自給率」
しかし、今なぜこの食料自給率がもてはやされているのでしょうか?
ここ最近のマスコミの論調は、「農協」=×、農業の企業参入をしきりに進めています。
しかも今年の農地法の改正で、今まで農家にしか持つことが許されなかった農地を企業が持つことが可能になったのです。
また、年次改革要望書で「共済は不公正な保護を受け民業を圧迫」とうことで、「共済」の解体を要求し、農協の解体を狙ってています。
その他に流通・販売では「大規模小売店舗法の廃止」をすることで、大型店に比べて経済力の弱い小売店を潰して、大型店の独断上に変えてしまい、小売の流通・販売を支配していったのです。
そして、大企業が今儲からないと言われている農業に積極的に参入しているのは、下記のこと考えられます。

食糧安保論と食糧自由貿易論~食糧が不足し高く売れる時代が来れば日本の農業に活力が戻ってくる【るいネット】 [6]
(前略)
第1に、需要が増え供給が減れば、食糧価格は高騰しつづけていくでしょう。「外国産は安いから」といつまでもいっていられません。
第2に、需要がさらに増え、供給がさらに減れば、自国民を食べさせるために輸出を規制する国が出てくるでしょう。
いくら金を積んでも買えない事態が発生する。つまり、自給率の低い国は餓死の危機に直面するということです。
(中略)
その後、ユダヤ人、ロシア人、華僑等々、いろいろな人種の大金持ちと話をしました。皆さん口をそろえて「これからは農業が儲かる」といいます。儲かるというのは、つまり食糧が不足し高く売れる時代が来るということ。(後略)

今後、人口増加等・経済破局によって、食糧の価格は爆発的に上がってしまう恐れがあるのです。そして、大企業が農業という生産の場を獲得することで、食糧の生産・流通・販売を押さえてしまうこともできてしまう可能性があるのです。
つまり、この一連の『食料自給率騒動』は農協の解体、農の自由市場化を目指し、大企業の農業参入を是としようとし、アメリカやヨーロッパのように大規模農地、経営をする企業による食糧支配を狙ったものなのではないでしょうか。
そうであるから、アメリカの共認支配、食糧支配の足かせとも思えてしまう『食料自給率』の報道をマスコミで連日し、電通による自給率向上キャンペーンが平然と行うことが出来ると考えられます。
当初は、アメリカの共認支配、日本の農業危機への『警鐘』であった「食料自給率」であったが、政治家・農協・官僚の暴走によって「食料自給率」」を自らが都合のよいように利用されてきてしまった。
そして今、本来アメリカに抵抗していたはずであった「食料自給率」がマスコミを使って利用され、農協に変わる大企業(外資・金貸しの息のかかった企業)による食糧支配が進もうとしているということがいえるのではないでしょうか。
『食料自給率』を叫ぶと食糧支配へと進んでしまうというこの現状、改めて食料自給率を超えた「新たな農の指標」というものが求められているのです!
最後に当ブログの応援をよろしくお願いします

[7] [8] [9]