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農協シリーズ第4弾 農協の大罪

全国の農協、漁協などの中央銀行的役割をはたす金融機関“農林中金”。
その資金はなんと22億円で、その殆どが農協による資金である。
いかにしてこの金を蓄えたのか!?
まずはこの表を見てもらいたい。
 <1986年世界コメ作付面積・収穫量・農薬使用金額>
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諸外国に比べ日本は農薬の使用量がずば抜けて多い。なんでこんな状態になったのか!?
書籍を読んでいくと、生産者の生活や消費者の安全よりも、自分の組織の利益を優先させてきた農協の経営姿勢と切り離せない関係にあることが分かってきた。
(山下一仁著「農協の大罪」より要約です)
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◆自動的に農協預金が増えていく仕掛け
「食管制度」のもと代行機関として誕生した農協。この役割が、農協の収益拡大に繋がった。農協は、政府から農協の組合員に支払われる米などの代金を代理受領して、コール市場(民家金融機関による短期金融市場)に出して運用した。組合員に支払う代金は(農家へ販売した肥料・農薬分を差し引いて)自動的に農協口座に振り込まれ、農協貯金として活用されたのである。そのほか農家に支払われる補助金も、農協が代理受領する。
つまり、政府と農家の間に存在できる立場を利用することで、他の金融機関が行う貯金の勧誘活動なくして、預金が自動的に増えていく構図を作った。
◆農家を農協に縛りつけるための補助金活用
農政は補助金行政の典型といわれる。しかし、農業の補助金のほとんどは、農家個人には交付されない。「補助金は公共性が求められる」という理屈か、複数の農家や農協が共同で行なう機械・施設等にのみ交付されてきた。(0.2ヘクタールの兼業農家が5軒集まれば補助金の対象になるが、5ヘクタールの専業農家は対象外)
国の補助金は農家が農協に加入し会員であり続けるための誘因として利用された。
◆化学肥料・農薬を多投すれば農協が儲かる仕組み
高度経済成長や農業の機械化の進展などにより、兼業化が進んだ。サラリーマンとして稼ぐため週末のみ農業に従事する兼業農家は、規模拡大やコストダウン、販売について考える余裕はない。労働を節約するために農薬・肥料などをフルセットで購入してくれ、販売も一任してくれる=高い手数料、マージンをとれる兼業農家は農協にとって都合のいい存在である。
農家の兼業化を促進することで、利益を上げていった。
◆有機栽培農家の村八分は独禁法違反!?
農協が売りたい農薬・化学肥料を使わない有機農業や農協を通さない産直を行う先進的農業者を農協は農協事業の利用から排除したりもした。
農協を通さずに直接スーパーなどに出荷するものなら、農協は農家の農協口座を閉じ、プロパンガスの供給を止め、共同利用の用水の使用を禁じ、文字通りの村八分にしたという話しは全国にあるらしい。
◆農業を犠牲にして得た巨額の預金で利殖に励んできた農協
農業が衰退するなかでも、兼業農家は農業外所得や農地転用売却益により豊かになっていった。毎年の農転売却益はピークの90年ころには7兆円に達し、現在でも2兆円はある。この莫大な資金が農協に預金された。農協への貯金総額は83兆円にものぼる。
農産物販売などの業務が赤字に転じる一方で、信用金庫、共済保険などの黒字拡大によって農協経営は高成長が続いた。
農協と農家は脱農・兼業化で農業を弱体化させ、経済的に豊かになったのである。
◆農協による著名人や御用学者の活用
こうした農協の実態を批判する勢力への対応も巧妙。
マスコミがそうした論調の記事を載せようとものなら以後の取材を拒否したり、実態についての批判なのに協同組合原則や農協法にはこう書かれているから間違いだという様な対応をする。
学者や研究者が批判をしようものなら、農協からの講演依頼は無くなる。ある農学部の大学教授が農協を批判したら、農協から学生の就職口を閉じると脅されたという話もあったらしい。
金の亡者と化した 農協 が、農家を利用し、農業を食い物にして私腹を肥やしてきた。
ただ、農協の力だけでこれら全てが行えるわけがなく、農協と兼業農家による政治圧力が大きく働いていたことが伺えます。
次回は、その政治力が発揮されたドロドロとした癒着関係
農協・族議員・官僚の「農政トライアングル」に迫りますっ

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