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自然薯の作付けが始まりました

おひさしぶりの三重のクマです。
うちの農園では、自然薯と、伊勢芋という薯(いも)を栽培しています。
今年も、作付けが始まりすでに芽を出し始めています。
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<農園の自然薯>                          <農園の伊勢芋>
自然薯といって、「アレか!」ピンと来る人が実は少ないんじゃないか?と思いますので、自然薯の紹介からしてみたいと思います。
自然薯は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの主に南部で主食にされている、ヤムイモの仲間で、ユリ目です。ヤムのうち、日本の原種が、自然薯(やまのいも)とされ、学名もDioscorea japonica(日本のヤム)とつけられています。
他に、日本にはナガイモや、大和芋とよばれるよく似た薯がありますが、それらは、大陸からの外来種で、16から17世紀ごろ渡来したようです。
自然薯と、ナガイモの特徴の違いは、葉の付け根が赤い物がナガイモ系(渡来系)、赤くない物が自然薯系(日本原産種)と見分けられますが、なんと言っても、粘りと風味の違いは一目瞭然で、自然薯それは、他と比べようがありません。
自然薯は、日本中の山に自生している蔓性の雌雄異株の多年草で、大きく3つの生殖で増えます。①花を咲かせて種をつくる生殖、②むかごと呼ばれる液芽(豆のような形の薯)から成長する ③前年の薯を種に成長する。
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自然薯の花 (ウィキペディアよりお借りしました)       むかご                   切り種芋           
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複数の生殖方法を持っていることからも分かるように、とても生命力の強い植物で、古くからその高い栄養価が珍重されてきました。
縄文時代以前からすでに食用とされていたと言われ、8世紀には「出雲国風土記」に薯蕷(しょよ)として登場しています。
高い栄養価と、収穫の難しさから、古くから高級食材とされ、平安期には、貴族への献上品でした。芥川龍之介が書いている「芋粥」では、主人公の下級遺族が生涯に一度でよいから腹一杯食べてみたい憧れの食材として登場します。
江戸期にには、街道沿いの、特に峻険な峠の麓の茶屋に、名物として食べさせる店が出来ました。きつい山道を、精をつけて乗り切ろうと言うわけです。静岡の掛川や丸子有名ですね。このころ、自然薯は「山うなぎ」の別名で呼ばれたりしました。
また、鯨漁師の漁期のはじめの元気づけに、自然薯を高価でも買い求めるのは、女房の努めだったという話も残っています。
自然薯は、古くから食べられてきのですが、栽培となると、かなり新しい植物です。
普通は、系統選抜や、交配で栽培しやすく品種改良をするのですが、自然薯はそれが出来ませんでした。まともに育つ環境が限定されていたからです。
大和芋はナガイモから、伊勢芋は自然薯のむかごの系統選抜で、江戸初期頃に畑で栽培・収穫しやすい形になりました。しかし、それらは、花もつけなければ、むかごも出来ません。ですから、薯そのもを種芋にして、代々伝えてきています。
自然薯そのものは、昭和も50年代になって、栽培方法が発明されました。
その方法は、畑に、自然薯の育つ環境を再現する様に工夫された物です。
現在では、栽培方法が広まり、特産品として栽培を試みているところが各地に出てきています。しかし、野生の自然薯は、栽培しやすく品種改良されている訳ではないので、なかなか苦労が絶えない作目であることは変わりありません。
一口に自然薯といっても、細かく見ると全国で70種以上に分けることが出来、早生から晩稲まであります。早生は粘りが少なく淡泊な味わいで、比較的形が崩れずに育ち、晩稲になるに従って、粘りが強く、どっしりした味わいで、よく暴れた形状になりやすくなります。天然の自然薯が「曲がっている方が美味い」と言われるのはそのせいです。栽培では早稲種が栽培しやすく、晩稲のなるにしたがって難しくなると言えます。
また、最近では、栽培しやすさ、商品の安定を求めで、早稲種を選抜して栽培している所も増えてきました。
日本古来の珍重されてきた自然薯を栽培して、食文化の一端を守るべく、うちの農園では、野生種・晩稲を、育てています。
なかなか思うように行かないことが多いのですが、なんとか「どこでもこうすればできる」という方法をさがして試行錯誤しています。
次回は、自然薯の栽培方法と育ち方を紹介したいと思います。

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