先日、熊本の㈲木之内農園の木之内会長の話を聞く機会がありました。 😀
熊本県南阿蘇村の木之内農園グループの総耕作面積は16ha。イチゴ狩りをはじめとする観光農園(イチゴ180a)
、米4.3ha、施設・露地野菜、ジャムやフルーツワイン、餅等の農産物加工・流通、たまご拾い牧場、田植え等の体験農園のほか、新規参入者を対象に研修もおこなっています。
特に近年は、担い手育成に力を入れており、5年前には県内の8件の農家と、担い手育成のためのNPO「阿蘇エコファーマーズセンター」を設立しました。この15年間で430名の研修生を受け入れ、40名を独立させたそうです。それでも1000万円の売り上げがある(家族4人が食べていける)のは、5名しかいないとのこと。
木之内さんは、「これまで日本の農業は、作物は育てても、人を育てることはしてこなかった。技術ばかりではなく、経営や理念を教えていくことが必要だ。特に新規就農した後の人材育成が不足している」と仰っていました。
その「研修システム」について、具体的にお聞きすることができたので紹介したいと思います。
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【3日間の農業体験】
研修前に向き不向きを見極める。ここでかなり落とされる。![]()
研修費、1日2000円。
【1ヶ月間の身体慣らし研修】
ここでは、できるだけきつい仕事をみっちりやらせる。
【後判定試験】
NPOの会員たちで審査し、ABCのランク付けをする。 😀
Aなら6万円/月、Bは3万円/月の研修支援金を支払う。 🙂
Cは無支援、ただし自費で研修を続けることはできる。 🙁
【基礎教育】
研修過程の前期5ヶ月。
【応用実践研修】
後期6ヶ月は、何をやるか方向性を決めて研修。
これが前期1年で、ここで終えて就農してもいいし、もう一年、後期研修を続けることもできる。
【仮独立】
会員の農家へ派遣し、その土地を借りて実際に経営をさせる。
例)ハウス1棟6万円/年、機械も6万円/年で自由に使っていい。
肥料など、必要な資材は自費で購入。
【本独立】
1年間自分でやってみて、本独立となる。
その際、就農先の紹介や、土地や資金の橋渡しをする。
実際に独立までの過程が具体的にイメージできそうで、可能性が感じられますね。ここには、北海道から沖縄まで、全国から研修希望者が訪れるそうです。年間60名ほど受け入れますが、最初の体験で20名に減るそうです。さらに最終的に2年間の育成コースに進むのは、5名ほどしか残らないとのこと。やはりなかなか厳しいですね。
現在も、農業を失業者の受け皿に、という動きが盛んですが、そんなに簡単な事ではないと思います。単なる労働力としてではなく、本気で、農業の担い手になってもらうという期待を掛けていくことが、供給側には求められるのだと思います。
以下、木之内農園について、「みんなの農業広場」 [2]より引用します。
◆ゼロからの出発、新しい発想で 「新規就農」「これからの農業」を切り開く」◆
動物好きの子供から新規就農へ
神奈川県で生まれ東京郊外のサラリーマン家庭に育った木之内さんは、幼い頃から動物や動物のエサ作りのための畑作りが好きな、大都市には珍しいタイプの子供だった。農業を志して熊本県内の大学農学部に進学、親元を離れて農業漬けの生活を送った。在学中のいろいろな出会いや体験、南米留学をへて昭和60年3月、大学卒業とともに県内、旧長陽村で就農を志した。
丸ごとブランド構想で農場、地域を活性化
木之内さんの経営の特色は、生産にとどまらず加工、流通、観光、教育、福祉、環境などの広い視野に立って農園を経営している点だ。農場に来る人が何を望んでいるかをみていると、次に何をするべきかが見えて来るという。「今までお金にならなかったものを工夫します」。それが田植え体験であり、たまご拾い牧場だ。「人と同じことをすると価格競争に陥ってしまう。人と同じことはだめ。今までお金にならなかったものを工夫することが大事。そしてニーズには素早く対応すること」。田植え体験は子供の立場に立って考えた結果、年間70万円をあげる立派な経営の柱となってきた。たまご拾い牧場では、意外なことに一番多いリピーター層は中高年女性だそうだ。
農園のファンになってもらうことでまた来てもらえ、農産物も売れるようになる。観光や教育を農業にマッチさせることで、経営の幅も広がるということだ。
農業を担う人材を育てる
木之内さんの元には、農業を始めたい人が若者を中心に多く相談をよせる。実際には、年間希望者60名が農業体験を経ると20名に減り、二年間の「プロ農家育成研修」にこぎつけるのは4,5名という。今まで300名以上を受け入れ、独立したのは31名。平成15年には研修制度を会社から分離して、NPO法人阿蘇エコファーマーズセンターを設立した。
新規就農者の育成にも木之内さんは力を注ぐ。スタート時点で後継者に比べハンディがある彼らには、自らの強い思いとしばられない自由な考えや発想、消費者の視点を持っている等の強みがある。「技術論だけでこれからの農業はやっていけない。人づくり、経営に力を入れ、ビジネス感覚を磨くことが、これから農業をしていく人に必要なことではないでしょうか」壁さえ乗りこえれば強みが生きてくる、と農業を志す人にエールを送る。
木之内均 ㈲木之内農園 代表取締役
著書:「大地の夢-都会っ子農業に挑む」 [3]
(小松)
