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金融危機は、食糧問題に何をもたらすか?

どうも雅無乱 [1]です。
作成中の農業問題を扱った新しいグランドセオリー [2]

金融危機は、食糧問題に何をもたらすか?
の草案をアップしてみたいと思います。忌憚無いご意見を!

■金融危機は、食糧問題に何をもたらすか?

今年の夏、穀物が急激に高騰し、途上国を中心として世界は深刻な食糧難に陥った。世界中で食糧をめぐる暴動が頻発して大問題になったのは記憶に新しい。
日本でもその影響は大きく、家畜の飼料が高騰し、廃業に追い込まれた畜産農家が多数出た。乳製品や鶏卵の値上がりとして家計にも影響を与えたので、この問題の深刻さを肌で感じた方も多いだろう。
ところがその後、穀物価格は急落し、トウモロコシなどは高騰前の水準以下になっている。
安くなったので「やれやれ」というわけにはいかない。一度高騰した事で、中小規模の生産者は大打撃を受け、廃業が相次いだ。…ということは、全体として供給力は高騰前に比べて格段に落ちたということを意味する。一度失われた農業の生産力が回復するには長い時間がかかるのである。
食料の価格が急に高騰し、今度は暴落する…などという異常なことがいったいなぜ起こるのか。なぜ我々の生活は(特に途上国の人々の生活は)そんな事に振り回されるような状況になったのか。
今後、私たちが安心して生活していくためには、この問題の原因を探り、状況を改善して行かなくてはならないだろう。
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★食糧高騰と暴落の直接原因

食糧の高騰の直接原因は、穀物市場への投機資金の集中にある。

一つ目のきっかけは、2007年1月にブッシュ大統領が発表した「バイオエタノール政策」だった。

2007年1月の発表では年間32億ブッシェルのトウモロコシをエタノール生産にまわすという計画であった。さらに、肉食化が急速に進む中国の飼料用トウモロコシの需要増や、温暖化や異常気象による作況不安などの複合的な要因から、需給が逼迫状態に陥る、と読んだ投機筋が先物買いに走ったのが、最初の急騰のきっかけである。

結果、シカゴ商品取引所のトウモロコシ相場は、2007年3月には前年同時期の2倍になっている。

さらに、2007年の7月頃からサブプライム危機が騒がれ始めた。

低所得者向けのローンが回収不能に陥るのでは、という不安がじわじわと市場を席巻し、それまで、金融商品や金融派生商品で投資ファンドなどが運用していた資金が、現物市場に流れ込みはじめた。

サブプライム危機は、2008年に入り深刻さが増し、原油とともに穀物の先物市場に逃避してきた資金がドっと流れ込んだ。

世界の商品先物市場の取引は1日数十兆円規模で、株や債権に比べると百分の1以下。そんな限られた市場へ、バブル化した金融市場で運用されていた世界中の投機資金が大量に流れ込んだのだからひとたまりもない。

2008年6~7月の食糧高騰はこうして演出された。

しかし、その後、リーマン破綻を皮切りに、金融業界自体が深刻な危機に陥っていく。そうなると、金融機関は信用不安で現金の調達に四苦八苦することになり、現物市場での運用を手じまいし現金化する「逆流現象」が起こった。

こうして、原油とともに穀物も暴落していったのである。

つまり、世界的な投機資金=あぶく銭が、パニック状態になって商品先物市場に雪崩込み、同じくパニック状態で商品先物市場から去っていったことが、この間の食糧の高騰と暴落の直接的な原因である。

人々の生命維持に不可欠な「食糧」の価格を、己の儲けしか考えていない博徒たちに振り回される、という苦い経験を味わった世界の国々は、食糧が「投機商品」になっている現状を、やっと本格的に問題視し始めた。

世界は現在、金融の規制(特に原油・食物市場の規制)に乗り出している。今後は、投機家たちの行動は制限されていくだろう。例えばヘッジファンドの規制への検討が、オバマ新政権では既に始まっている。
ヘッジファンドに登録制 米、再導入を検討(日経ニュース) [3]
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※図解は↓ここから
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=194565 [4]

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