- 新しい「農」のかたち - http://blog.new-agriculture.com/blog -

リン鉱石と食糧危機

7月から肥料がまた値上がりするそうですよ。 🙁
先日、資材屋さんと話をしたら、化成肥料の値上がりが半端じゃない。単肥は化成肥料の原料に取られて、店の方にもなかなか入ってこないそうです。また、資金力のある大規模農家を中心に、値上げに備えて肥料の買占めに走るものがいれば、一方、肥料屋の売り惜しみもあって、ますます市場に流れないような状況になっているらしい。
また今までは、化成肥料に比べ有機肥料は割り高で、それが有機の妨げにもなっていたようですが、今やその価格差もかなり縮まってきたとのこと。
資源のリサイクル、生ゴミ堆肥など、本気で考えていかなければならない時期に、既に入っているのです。
以下、「NBonline」 [1]より引用します。

■リン鉱石と食糧危機
 6月3日、国連食糧農業機関(FAO)が主催してローマで開かれた食料サミットで討議された内容が連日報じられたが、肥料に関する記事が全く見られない。
 資源問題としてレアメタルのことは最近ようやく語られることが多くなった。しかし、世界的に食糧危機が叫ばれているいま、肥料・飼料用のリン鉱石のことが報じられることがほとんどないのは不思議だ。
 食糧生産には欠かせない肥料の3要素(窒素、リン酸、カリ)のうち「生命の根源」とも言われる成分で農作物の品質と深い関係にあり、酪農の飼料としても必要なリン酸の原料資源、しかも代替物がないリン鉱石の価格がスカイロケッティングと表現されるように高騰している。
 世界の肥料価格は2007年に2倍になった。しかし、リン鉱石、リン酸肥料は5月12日に起きた中国における主要産地である四川省大地震の影響もあって、この3カ月でさらに2倍になった。 
 人類が紀元前3000年頃から始めた農業の歴史上不足し続けてきたのがリン酸である。その原料であるリン鉱石の枯渇がいま心配されているのである。その資源事情を見てみよう。

続きを読む前にポチっと☆応援ありがとう!

 USGS(米国地質調査所)によるとリン鉱石の生産量は2007年世界合計1.47億トンであった。そのうち中国が3500万トンで23.8%を占め、米国が2970万トン20%、モロッコが2800万トンで19%、ロシアが1100万トンで7.5%、4カ国で70%強である。
 米国は2007年に、この40年間で初めて3000万トンを下回り中国に抜かれた。主産地であるフロリダの資源枯渇によるものだ。米国はリン鉱石を戦略物資として以前から輸出禁止でリン酸肥料として中国、インドに輸出しているだけだ。
 USGSによる2003~2011年までの鉱物資源調査プログラムでは、重点鉱物資源8品目のうち6品目がメタルで2品目がリンとカリである。ちなみにメタルとしては銅、金、鉛、ニッケル、白金族、亜鉛である。
 問題は、日本のリン鉱石、リン酸肥料輸入先の中国である。世界の埋蔵量180億トンのうち66億トン(約37%)を保有する。その中国が本年5月にリン鉱石のみならず肥料にも100~135%の輸出関税をかけてきた。実質的な輸出禁止の様相である。自国の人口増加と中産階級化した多くの人々の“贅沢な”食生活を満足させるためにもリン鉱石資源の保護を打ち出したわけである。レアメタル、レアアースの囲い込みだけではないのだ。
 資源として、世界で180億トンの埋蔵量があれば120年以上寿命があると思われるかもしれないが、英国硫黄誌(British Sulphur Publishing)によると、最悪のシナリオとして過去の消費から年3%の伸びを見込むと消費量は2060年代には現在の約5倍になり、経済的に採掘可能なリン鉱石は枯渇してしまうことになると予測している。現実的なシナリオでは2060年代に残存鉱量は50%になるとしている。
 リン鉱石の80%が肥料用、5%が飼料用、残り15%が洗剤その他に使用されている。国際肥料工業会(International Fertilizer Industry Association)によると、リン酸肥料が使用される主な作物とその割合は、小麦が18%、野菜・果物が16%、米、トウモロコシがそれぞれ13%、大豆が8%、サトウキビが3%、綿花4%となっている。大豆を含むエネルギー作物のためには14%が使われている。
 ヘラルド・トリビューンの5月20日のニュースによると、肥料生産で世界最大のモザイク(Mosaic)は2007年度に対前年リン酸肥料の売り上げは82%伸び、記録的な利益を上げて株価は7カ月前の54ドルから124ドルに上昇している。
 しかし、2月に発表された同社のIRリポートによると生産、販売量が増えたわけではなく、2006年にトン当たり246ドルだったリン酸の販売価格が487ドルに上がったためである。この価格上昇はトウモロコシと大豆の世界的な需要増によるものである。
 農家は収穫率を高めるためにリン酸肥料が欲しい。そのために価格高騰を受け入れざるを得ない。そして新興国の人たちが裕福になり人口が増えるほど同社の利益は上がるわけだ。
一方、日本のように資源を持たない国はリン鉱石を輸入して肥料を作っても儲からないわけだ。その鉱石も金を出しても入手が困難になってきている。
 モザイクの大株主、カーギル(Cargill)は農産物関係国際大企業で、ブラジルで広大な面積の熱帯雨林を伐採して大豆などエネルギー作物、飼料などを生産販売しているが、グループで世界的にリンとカリの資源囲い込みに余念がない。同社は、熱帯雨林の破壊を理由にグリーンピースの標的になっている。
 日本ではスーパーマーケットからバターが消えた。飼料高騰によって廃業に追い込まれる酪農家が出て、バターを作るための生乳が不足したためだ。肥料、飼料の輸入商社、国内メーカーは全農など農業団体に対して60%におよぶ大幅値上げを飲ませて転嫁に成功したようだが、農家にはとうてい吸収能力がないため価格転嫁はできず、未だ消費者にはさほど影響が出ていないように見える。しかし、内情は危機的状況であるはずだ。
 飽食を続ける日本。食の安心・安全は絶対条件ではあるが、食糧安全保障も絶対条件であろう。そのため、レアメタルの一つ覚えではなくリンとカリという代替物質がない資源にも関心を持たなければ日本の食は危ない。
 下水汚泥からリンを経済的に回収する技術の早急な確立が望まれる。

このままでは、本当に日本の農業は危ない。この事実を一人でも多くの人に知ってもらい、自分たちの食糧生産の基盤を、みんなで守っていく方法を考えなければなりません。
リン鉱石が入らないとしたら、どこから調達するか?そもそもリンはどこにあるのか?
もう少し調べてみます。
小松

[2] [3] [4]