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食糧需給の状況整理

まるいちです。このところ、食の安全や安心の問題から、食糧の価格高騰、不足、といったような話題が続いています。
今日は、穀物価格急騰! 途上国を直撃 [1]の記事を受けて、世界と日本の食糧需給状況を整理してみたいと思います。 
●世界の状況は【世界の食糧需給の状況ってホントはどうなの?】 [2]の記事にありますが、全世界の農畜産物生産量及び漁獲高を単純に世界人口で割って1日当りの供給量に換算すると、大きく見て、世界全体の生産量は世界中の人々に均等に供給できれば飢餓や栄養不足などは起こりえない数値になります。また、少々の人口増加には十分対応できる数値でもあります。
ですから、今回の穀物価格の急騰や供給不足は、明らかに投機や売惜しみによって大儲けを企んでいる人達が引起したものでしょう!
●次に日本は自給できるか?と言う問題です。現在、カロリーベースの自給率が39%!と言う事ですが、これも以前の記事【日本は何人養える?①】l [3]【日本は何人養える?②】 [4]を参考にします。
■この結論はいろいろな条件によって変わってきます。
1、石油の問題・・・動力と化成肥料の原材料
①現在の食生活のままで石油が現在と同じ値打ちで手に入るなら、3,000万人程度。
②1960年代の食糧自給率が非常に高かった(カロリーベースで79%(1960年))頃の人工は、9,000万人。しかし、この頃の食生活でも石油が高騰するなど、手に入りにくくなると、3,000万人も難しいかもしれない。
2、石油に依存しない場合
①江戸時代は山林の下草から糞尿までの徹底したリサイクル社会。それでも3,000万人以上は養えず、5年に一度くらいの頻度で、飢饉があった。
 3,000万人分以上の食糧をまかなうだけの有機質肥料は、日本の国土だけでは無理。
②同時に石油エネルギーに頼らない技術がかなり失われていて昔ながらの農作業を知っている人は少ない。
②また、石油に頼らないというのは技術というより、システムに頼っている部分がある。生ゴミを埋めたて、糞尿を下水に捨てていることだけを見ても、よく分かる。国内自給率の高かった1960年代は、まだこれらのリサイクルシステムが機能していた。しかし、今はもうない。
※農地としては600万ヘクタール(1960年)の耕地面積があるが、いくら耕作地があっても肥料がまかなえなければその分収穫は落ちる。江戸時代よりも山林が貧しくなっているようなので、その分国内でまかなえる肥料が少なく、江戸時代より厳しいかもしれない。
3、農地面積からの判断
①日本人の今の食生活を維持するには、1400m2(1.4反)必要。明治末期の食生活なら、600m2(0.6反)です(農林水産省「食料需給表」)。
 現在の日本の耕地面積から計算すると、現在の食生活で3,400万人分、明治末期の食生活で8,000万人弱になります。過去最大だった600万ヘクタールで計算しても、それぞれ4,300万人と1億人。
●結論としては日本の国内で1億人以上が自給すると言う事は非常に厳しい感じです。
★しかし、可能性はあります。
 社会システムを見直す(次代の循環型社会へ)、農業や自然を大切にし、まわりやみんなを大事に想うと言ったような規範の再生(共同体社会へ)、そして昔からの様々な技術、農業技術だけではなく、昔ながらの生活の知恵や工夫思考の再生・・・・やるべき課題はまさに【次代の社会作り】そのもの。
 【農・食】の課題は、【社会の再生】そのものだと思います。
 
 【社会の再生】と言う視点で引続き考えて行きたいと思います。
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