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「黒ボク土」って、何?(1)黒ボク土の性質

土について考えるシリーズ(?)、今回は「黒ボク土(くろぼくど)」を採り上げます。
皆さんは黒ボク土って、ご存じでしょうか?この土は、色も濃く、良く肥えていそうな見た目に反して、なかなか作物が育たない土と言われていて、実際我々も収量確保に苦労しています。
そこで、この「黒ボク土」とはどんな土なのか、調べてみました。
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黒ボク土は火山灰が積もって出来た火山灰土で、北海道、東北、関東、九州に特に多く見られます。その語源は「黒くてボコボコした土」から来ています。
黒ボク土は日本の他の土に比べて腐植含量が極めて高く、また、世界のいろいろな土と比べても最高位にあります。
これは、火山灰に多く含まれる活性アルミニウムが、腐植との結合が強く、腐植を容易には分解できない形に変え、多量集積の要因になったと考えられています。これが、土の色を黒くしている要因です。
いろいろな土の腐植含量の比較
国名     地目   土壌名     腐食含量(%)
日本     水田   灰色低地土     3.8
日本     畑地   褐色森林土     2.7
日本     水田   黒ボク土       9.3
日本     畑地   黒ボク土      10.3
アメリカ   畑地   モリソル       4.0
ロシア    畑地   チェルノーゼム   8.3
中国     畑地   黄土          1.8
*出典:土と人のきずな/新風舎
また、黒ボク土は、雨が降っても火山灰が流れないところ=平坦地に出来るので、農地として使いやすいという条件を備えています。また、腐植が多いために団粒を形成し、通気性、排水性、保水性といった物理性が良く、作物の栽培に適しているように見えます。
つまり、
①腐植含量が多い
②平坦地に出来る
③土の物理性が良い
と、ここまでは良いことずくめですね。
ところが・・・

ところが、黒ボク土には大きな欠点があります。黒ボク土に多く含まれている活性アルミニウムと粘土のアロフェンという鉱物が、リン酸と強力に結合し、一度結合したリン酸を容易には放しません。リン酸はもともと土と強く結合する性質がありますが、黒ボク土の場合は他の土に比べて特に強くリン酸と結合します。このため、黒ボク土では作物がリン酸欠乏になって、良く育たないのです
(土と人のきずな/新風舎刊より)

なるほど、黒ボク土で作物が育たない最大の理由は、リン酸欠乏だったのですね。
どれくらいリン酸を吸着するかというと、少し専門的になりますが、リン酸吸収係数というのがあって、一般の土壌では、土壌100gあたり、リン酸700~800mg程度まで(高くても)であるのに対して、黒ボク土の場合、1,500~2,500mgくらいになるそうです。
実は、この、リン酸欠乏が黒ボク土の弱点であるという事は、最近までよく分かっておらず、昔から多くの人々が、黒ボク土と戦い、苦しめられてきました。
大分県九重地方には、水稲がうまく育たないという黒ボク土にまつわる民話から、「千町無田(せんちょうむた)」という地名が残っていたり、北海道や関東、東北地方の黒ボク地帯開拓の苦闘も、物語や戯曲として残されているほどです。
(つづく)
     by 馬場

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