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農地と株式の交換制度?日本の農地をますます荒廃させる新政策!?

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     ※画像は三重県度会町の風景。こんな美しい風景も見られなくなってしまうかも?
どうも雅無乱 [1]です。
もう一月ほど前になるが、5月8日の日経新聞朝刊の記事(下に引用)が、非常に気になっている。

『農地取得 株式と交換で-諮問会議改革案 企業の参入促す-』(2007年5月8日 日本経済新聞朝刊1面)

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『農地取得 株式と交換で-諮問会議改革案 企業の参入促す-』
(2007年5月8日 日本経済新聞朝刊1面)

 日本の農業の競争力強化のために政府の経済財政諮問会議がまとめた改革案の全容が7日、明らかになった。
 5年をメドに全国の耕作放棄地(遊休農地)をなくす目標を設定。
 農業の大規模効率化を進めるため、農家が企業に農地を譲る代わりに株式を受け取る制度や、農地の定期借地権制度の創設を盛り込んだ。
 改革案は安倍内閣の農業生産性向上の柱となるもので、諮問会議のグローバル化改革専門調査会が8日に発表する。
 6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太方針2007)に反映させ、今秋の臨時国会で農地法など関連法の改正を目指す。
 耕す見込みのたたない遊休農地は農家の高齢化で年々増え続け、2005年時点で埼玉県の広さに匹敵する38万6000ヘクタールに達している。
 一方、北海道を除く地域の平均経営面積は米国の100分の1以下で、大規模化の遅れが日本の農業生産性の低さの一因と指摘されている。
 改革案では農業の大規模効率化を促すために農地所有の抜本的な規制緩和が必要と指摘。農地を手放したい人が、農業参入を目指す企業に農地を現物出資できるようにすることを提言する。
 手元にまとまった資金のない企業でも土地の取得が可能になる一方、農家にとっては相続などを機に遊休農地になりかねない土地をすぐに金融資産に変えられる利点がある。出資した企業が利益をあげれば配当収入も期待できる。現物出資で取得した株式への相続税を軽減する制度もつくる。
 農地を手放したくない農家が企業に農地を貸しやすくするために、20年以上の農地利用を条件とする定期借地権制度の導入も提言する。
 農家は一定期間後の農地返却を確定でき、借りる側は長期の経営計画を立てやすくなる。
 税対策のために遊休農地を持ち続ける農家を減らすため、遊休農地への固定資産税などの優遇措置も見直す。
 改革案には「農地を適切に利用していない場合には保有コストを上げる政策が必要だ」と明記した。(以上、記事全文転載)

いったいどうしようと言うのだろうか。実にきな臭いものを感じる。
この政策に直接影響を受けるであろう自称“零細農家”の方が、ブログにコメントしているので一部引用する。
ブログ『常民の青い空』 [2]
「農業のグローバル化とは、いかがなものか」
http://blog.goo.ne.jp/soni19miyasita/e/b82fd67debb9eb474af65d7149f334d9 [3]

 要するに土地の流動化のためにアメとムチを用意しましたよ。
(農業はまったく採算が取れなくて)農業者の資金は当てにならないので、
民間の企業の資金を導入しますよ。
そういうことですよね。
 よくわかんないんですけれど、
なぜ現在、オーナー自身が必死になっても採算が取れないものが
企業にすると成り立つようになるといえるのかな。
農業というのは、そんなにスケールメリットのある事業なのかな。
 一旦企業の手に渡った農地が
やっぱり採算が取れないとして企業が撤退する時に
うまく農地以外に転用して、
都市近郊のスプロール(虫食い)解消の役に立つだけなんじゃないのかね。

日経新聞に書かれている「農地と株式の交換制度」の導入は、地域に何をもたらすのだろうか。
ブログ『常民の青い空』の仙氏の指摘も考え合わせると、すぐに次のような危険性を思いつく。
たしかに、耕作放棄地を抱えているよりは、今流行の株=金融資産を持った方が目先的にはいいように見える(しかしその株は、土地を取得した企業が農業で成功しないと価値は上がらない…要注意!)。
「遊休農地が金融資産に変わるよ」などと耳元でささやきながら、一方で、「遊休農地への固定資産税などの優遇措置も見直す」。もちろんこの意味は、優遇措置を撤廃し、土地所有者へ「土地を手放せ」という圧力をかけるということである。
また、高齢者の多い地方にとって「20年以上の定期借地権制度」というのが実質的に何を意味するのか…これはご想像にお任せする。
そのようにして地域の人々から引き剥がされて集約された土地で、農業参入した株式会社が経営することになるということだが、そもそもブログ『常民の青い空』の仙氏も書いているように、農業で利益を上げていくのはそう簡単なことではない。
それでも収益を上げようと思えば、大規模化して人件費を削減し、単位面積あたりの収量を最大にするべく、機械と農薬と化学肥料を投入するしかない?
その土地にずっと住んでいる人間だから、地元の水源や環境を守るという意識が残っていたものが、利益至上主義になれば、無限に環境が破壊され汚染される可能性もある。
しかも、参入した企業が失敗するなどして、またバブルの後のようにハゲタカよろしく“債権回収機構”とか称した外資がこぞってやってきたらいったいどうなるだろう。
同じく、ブログ『常民の青い空』 [2]より

農作物というのは、ある国にとっては戦略物資です。
 高賃金の国の綿花が小国のGDPに匹敵するような補助金で格安になり
低賃金で縫製する国で生産するTシャツの原料が先進国産です。
収穫後にどっさり農薬につけても関係ありません。
狂牛病のおそれなど何でもありません。
どうせ、自分が食べるものではありません。
 価格競争で、相手国の農業を駆逐し
自国に依存しなくてはいけない国にすれば、十分です。
武器を使った戦争よりも大分安くつきます。

現在、日本の都市部の地価のバブル化が進行しているが、そのきっかけは土地への新しい投資様式の導入にあると思われる。いわゆる不動産投資信託(REIT)であって、それによって手軽な投資が可能になり、それらの資金を使って土地の集約化や開発が可能になった。そこに外資も大量に参入してきて投機が進んだのが、都市部の地価バブルの理由の一つと言われている。
同様のことが地方にも波及したら、こうなる可能性だってある。

①外資の旗振りで(政府も一緒くたになって)、日本の投資家や裕福な退職組に対して「これからの時代は農業が儲かりまっせ」というキャンペーンが張られ、彼らの資産を利用して、地方の土地が元の地主から引き剥がされ集約される。
②外資系企業は、自分たち自身が汗水たらして働く気なんてないし、儲かる保証のない農業経営をやる気もさらさらない。REITと同じように幻想価値を膨らませて、集約した土地や経営体だけ早々と売っぱらってしまって利ざやで儲ける。
③日本の地方では、外資の間接支配を受けた法人が、フィリピンやインドネシアから格安の賃金で人を雇って農業を営み、田舎で日本人はほとんど見かけなくなりましたとさ…

…ってなことにもなりかねないのでは?
「そりゃあ杞憂だろう」と笑う人もいると思うが、私にはそうは思えない。地域を巻き込んだ議論もまともにせずにひっそりとこういう危険が山盛りの提案をして法改正を急いでいるのが、なぜかグローバル化改革専門調査会だそうではないか(またか…という感じである)。
もちろん高齢化によって遊休農地がますます増えてどうしようもなくなる、という事態は何とかしなければならないとは思う。しかし、それはあくまで地域の人々の同意を得た上で、地域の人々自身の手で行っていけばよいことなのではないだろうか。そのような、地域で環境を保全しながら一次産業をがんばる人に対して、政府がそれを助成したっていい。
それなのに、美しい日本の国土がマネーゲームのネタになり農村の共同体を最終的に破壊する可能性のあるこのような法改正を、「美しい日本」を標榜する安倍氏が率先して推進している。集団的自衛権の容認と言い、三角合併の解禁と言い、そしてこの農地と株式の交換制度と言い、安倍氏の政策はことごとくアメリカの要求にあわせて「国を売る」ことに繋がっていないだろうか?

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