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硝酸態窒素が問題??

こんばんわ ヒヨッコ百姓です
「緑の濃い野菜が危険!?」 [1]を読んで、実際のところどうなのか気になっちゃったので、ちょいと調べてみました
■そもそも硝酸態窒素って

硝酸態窒素とは、植物の生長に不可欠な肥料3要素の一つである窒素が変化(酸化)したもので、土壌など自然界に広く分布しています。
植物は重要な養分としての窒素を土壌から主に硝酸態窒素の形で根から吸収し、光合成→炭水化物を生成→アミノ酸を生成→たんぱく質を合成します。
このように植物の生長に必要不可欠な窒素供給源であり、野菜に限らずどのような植物にも一般的に含まれています。また、特に成長期にある植物体に多く含まれています。なので生育途中の植物体を食す葉菜類(ホウレンソウ等)は比較的硝酸態濃度が高い傾向にあり、果菜類(とまと、ナス等)は低い傾向にあります。

「月報 野菜情報」 [2]参考
硝酸態窒素については、悪い印象ばかり先行してますが、実はとっても大切な要素であるって所が抜けてる気がしますね
■高濃度な硝酸態窒素で何が起こるの?
人が硝酸性窒素を多量に摂取すると、体内に亜硝酸態窒素として吸収され、血中でヘモグロビンと結合してメトヘモグロビンとなり、これは酸素運搬能力がないため、体内の酸素供給が不十分となり、酸欠状態となります
「緑の濃い野菜が危険?!」 [3]
で言われている“ブルーベイビー症候群”というやつですね
これは特に地下水に依存度の高い欧米で起こったのですが、硝酸態窒素濃度の高い地下水を使用して作ったミルクを与えられていた乳児や、生後3か月未満の乳児で離乳食を与えられて発生したが事例が知られています。
この時、発症した乳児は体重当たりの硝酸塩摂取量が多かったことに加えて、また、生後3ヶ月未満の乳児は、胃酸をほとんど分泌しないため胃内のpHが高く、胃内で微生物が硝酸塩を還元し、亜硝酸塩を生成する可能性が高いことから起きたものであるとされています。
(日本のように胃酸に分泌が始まる生後5~6か月から離乳食を開始することがほとんどの場合には、このような事例が生じるおそれは極めて少ないと考えられています。また、国内の飲料水(水道水)の硝酸塩の基準は、この乳児に対するメトヘモグロビン血症が現れない濃度(10mg/㍑)を基に設定されています。)
■では一体何で問題になる程高濃度になってしまうの 何が問題なのか です。
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根から吸収される硝酸塩などの量が多過ぎたり、日照不足や高温により十分な光合成が行われない場合などには、吸収された硝酸塩がアミノ酸やタンパク質に合成されずに、硝酸塩のまま植物体中に蓄積されます。また吸収されなかった余剰窒素分は畑から流亡し、地下水や河川に流れ込み飲料水に含有されます。
海外で起きた病気も“化学肥料の与えすぎ”が原因とも言われています。
有機栽培といっても理屈は同じ。「有機だから」ってついつい堆肥や有機物を入れすぎてしまえば土壌や植物内に蓄積されます。
■除去方法
まず、『季節外れの野菜を食べたがらない』ということ 旬以外に出荷するものはどうしても肥料をたくさんやらないといけないので、結果的に硝酸態窒素も多く残ってしまいます
 次に、『野菜は茹でてしまう』ということ 硝酸塩は水溶性なので、茹でてしまえば水に溶け出します。かさも減ってたくさん量を食べられるから、結果的にビタミン類も多く取れて一石二鳥 また、硝酸塩・亜硝酸塩はハム・ソーセージ、蒲鉾などの加工食品にも、発色剤として添加されています なので、これらの食品も茹でることで安全に食べられます
日本での状況
じゃあ実際に被害は出ているのかなぁ ってイロイロと見てたんですが、日本の井戸4955本中、基準値10mg/㍑以上なのは5.5%とか。コンビニで売られてたミネラルウォーター3種類から硝酸態窒素が2mg/㍑検出されたとか(基準値以内)。
EUの基準と比べるととっても多いとか。
[4]
農林水産省 日本の野菜の硝酸塩含有量 [5] 参照
でも実際(いまのところ)被害って出てない ほんとに有害極まりない曲者ならとっくに大量に被害が報告されていてもおかしくないのに なんでこんなにも硝酸態窒素が問題視されるんだろう
事実としては、
・硝酸態窒素は生物にとって必要不可欠な要素である。
・基準値以内なら海外でも被害出ていない。
・調理方法によって硝酸態窒素は除去できる。

[6]
農林水産省 HP [7]より
要は普通の食生活を送っていれば問題ないって感じがするんですが…
それに、海外の被害にしても、国内の状況にしても、硝酸態窒素の問題というよりは、農薬や肥料全体の問題であるように感じます。
「とにかく硝酸態窒素は危険 」って叫びすぎな気がしますよね ちょっと違和感を覚えます
もう少し継続して調べてみようと思いますが、「硝酸態窒素が危険」といってそこだけに注目するよりも、先述したように硝酸態窒素は植物にとって必要不可欠な要素でもある訳ですから、やはり大切なのは「植物が本当の意味で健康であること」なんだろうなぁって思いました

[8] [9] [10]