- 新しい「農」のかたち - http://blog.new-agriculture.com/blog -

「農業が持つ教育効果」について…「自然体験学習教室」の目指すところ

雅無乱 [1]です。
今回は、当ブログの12月12日のエントリーhttp://www.new-agriculture.net/blog/2006/12/post_62.html [2]で扱った、「自然体験学習教室」について書いてみたいと思います。
実は私自身、この教室の企画・運営に関わっています。
「自然体験学習教室」は、1年間を通じて、種まき、定植から、生育管理、収穫、さらに、出荷や販売に至るまで、農業の全ての過程を仲間とともに経験してもらうことで、子どもたちに、豊かな感性や人間性、科学的思考、仕事のやりがいなどを感じもらって健全に成長してもらうことを目的とした教室です。
↓こんな感じで運営しています(昨年、1年間の子どもたちの成長の様子が写真入で見ることができます)。
ブログ★自然体験学習教室の広場★
http://blog.goo.ne.jp/sizentaiken/ [3]
inekari2.JPG [4]
昨年、実際に参加してくれた子どもたちは、私たちスタッフの想像をはるかに超えて、大きく成長してくれました。
彼らが、これほどまでにたくましく成長してくれたのはなぜなのか?
この一年のカリキュラムを子供たちとともにして、自然の圧力を受け、仲間と協力して「農業をする」という行為は、私たちが想像する以上に大きな教育効果があるのではないかと思いました。
というわけで、今回はあらためて「農業が持つ教育効果」について考えてみたいと思います。
続きを読む前に応援よろしくお願いします!
 


「都市は人間の脳が創り出した空間である」というのは、解剖学者の養老孟氏がよく使う表現ですが、「都市」に住む子どもたちは、人間の観念によって創り上げられた便利で快適な空間に日常は暮らしています。
便利で快適なのは結構なことなのですが、あまりにも圧力が無く、何でも思い通りになる空間では人間は成長しません。
最近、若者の耐力の無さ(すぐキレる、すぐ会社を辞める…など)、根拠のない万能感(参考:『他人を見下す若者たち』 [5])、自己中心的な行動(電車内で化粧をしたり、携帯電話をしたり…。集団で道端に座り込んだり…)、があちこちで問題化していますが、この根本原因は、都市空間や家庭の無圧力化とそれにともなう観念(自我や妄想)の肥大化にあると考えられます。
農作物も、農作物の周囲にある自然(太陽・空気・土・生命群)も、なかなか人間の思い通りにはなってくれません。そういう外圧を受けることは、ついつい人間中心・自分中心の世界観に陥りがちな「都市空間」に育った子どもたちの成長にとって、必要不可欠なのではないかと思います。
inekari.JPG [6]
意のままにならない自然・生命(作物)を相手に、仲間とともに子どもたちが奮闘する…その中で、はじめて健全な人間関係も育まれていきます(圧力・課題の無い仲間関係はいびつになり、“いじめ”などの問題を生み出します)。
こうして農業を通じて、自然への素直な感謝の気持ちや、謙虚さ仲間の大切さを、子どもたちは実感して成長するのだと思います。
DSCN1956.jpg [7]
人間の脳は塗り重ね構造(旧い脳の上に新しい脳が塗り重ねられている)になっています。豊かな感情の大元である偏桃体 [8]や記憶を司る大脳偏縁系 [9]など、生命として適応していく上で重要な基本的な機能の多くは、旧い脳にあります。農作業などを通じて肉体に直接かかってくる自然外圧は、脳を奥の方から活性化して子どもたちを元気にする効果もあります(自然の中の子どもたちが元気なのは理由があるのです)。
DSCN3168.jpg [10]
これらの外圧条件がそろっていない「都市」という場だけで、子どもたちをいくら健全に育てようと思っても、かなり無理があると思います。
この「自然体験学習教室」のような自然の摂理を実体験を通じて学ぶ「場」は、子どもたちを健全に育てるための、いわば「栄養分」です。次代の社会を担う子どもたちを健全に育成するのは、私たち大人の社会的な責任だと思いますが、都会で育つ子供たちに健全に育つための「場」を提供することは、今後、ますます重要な課題になってくるのではないでしょうか。
今年の4月に、また新たな一年のカリキュラムが始まります。
今年もまた、精一杯準備してカリキュラムを充実させて、たくさんの元気な子供たちの笑顔に会いたいと思います。

[11] [12] [13]